こどもを性暴力から守る制度の教育・保育現場におけるデータベース活用の実態と日本版DBSへの教訓

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最新の省庁調査データから見えた「制度の形骸化」

こどもへの性暴力を防止し、安全な教育・保育環境を確保するための取り組みが進められています。
しかし、制度が導入されても、現場で適切に運用されなければこどもたちを守ることはできません。

こどもへのわいせつな行為などで保育士登録を取り消された人の情報をまとめた国のデータベースについて、保育所など少なくとも6000の施設で活用されていなかったことが分かったことが報道されました。

このデータベースには、こどもへの性暴力などを理由に保育士登録を取り消された117人(令和8年4月時点)が登録されています。

採用する際は確認することが義務付けられていますが、こども家庭庁の調査によりますと、6,010の施設や事業者がユーザー登録を「していない」と回答しました。

また、文部科学省が公表した「令和7年度教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況等調査について」の最新データでも公的制度と現場の運用実態との間に依然として大きな隔たりが存在することが明らかになりました。
幼児保育や学校法人ほど登録・活用されていない状態がうかがえます。
教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況等調査の結果について(概要)(PDF:581KB、文部科学省)

文部科学省HPから抜粋

なぜ機能しないのか

① 制度に対する理解不足・認識不足
・「常勤のみが対象」「前職がある場合のみ」「男性のみ」といった誤った解釈により、非常勤や新卒採用での確認が行われていない。
・システムの周知不足:民間や市区町村の幼保部門において、DBシステムそのものの存在や確認義務が十分に知られていない。

②運用上の人的ミス・管理体制の不備
・毎年4月に行う必要があるアカウント有効期限延長(ログイン手続き)の失念。
・人事担当者の異動に伴う業務引き継ぎの不備・漏れ。

③他システムとの混同・誤認
・「保育士特定取消管理システム」や「官報情報検索ツール」など既存ツールを使っているため、他のDBの活用は不要であると誤認しているケース。

今後の「日本版DBS」本格導入に向けた懸念と注意喚起


令和8年12月25日から施行される「こども性暴力防止法(いわゆる「日本版DBS」)」においても、同様の問題が発生することが強く懸念されます。
日本版DBSの効力を発揮させるために、事業者・教育現場に以下の取り組みが不可欠です。

①非常勤・パート・ボランティア・講師・新卒を含め、こどもと接する全職員の採用フローに犯罪事実確認やDB照会を組み込む。
②担当者異動時にも確認漏れが起きないよう引継ぎマニュアルの整備、アカウント管理を徹底する。
③犯罪事実確認で確認できるのは、特定性犯罪事実該当者のみです。示談・起訴猶予となったケースは捕捉できないため、密室を作らない環境整備や防犯カメラの設置、監視・研修体制との併用が必須です。

    おわりに

    末端の現場や小規模施設に至るまで実効性のある運用ルールとチェック機能を定着させることが、こどもたちの安全を守る唯一の道です。必要なことをしなかったことで事業に大きな損害をもたらすことにもなりますので、制度を疎かにせず、しっかり考えましょう。

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