DBSの準備で誰もが一度は「ひえ~!」となるであろう実務の難所を、ちょっとだけご紹介! これを読めば、あなたの準備もスムーズに…なるかも!?

犯罪事実確認(DBS)の実務における「5つの難所」
2026年12月の施行に向け、事業者が犯罪事実確認を実施する際、特に判断や対応に苦慮することが予想されるポイントをまとめました。

目次

1. 「誰を確認するか」の線引き(対象者の特定)

法律では「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件を満たす業務が対象とされていますが、現場での判断は容易ではありません。

  • グレーゾーン業務の判断:
    • 「事務職員だが、たまにカウンターで児童対応をする」
    • 「イベント時のみ参加するボランティア」
    • 「外部委託の清掃員や送迎バス運転手」 これらの人々が対象になるかどうか、事業者が個別に業務実態を見て判断しなければならず、判断を誤れば法違反(確認漏れ)や過剰なプライバシー侵害のリスクがあります。
  • 実習生への対応:
    • 教育実習生や保育実習生も、原則として「1対1にならない」ことが担保できなければ確認対象となります。大学側との連携や、実習計画の見直しが必要です。

2. 現職者確認の「ランダム・スケジュール」対応

施行時に既に在籍しているスタッフ(現職者)の確認は、事業者の都合の良いタイミングで行うことができません。

  • 予測不能なスケジュール:
    • 全国の従事者を27ヶ月(27区分)に分け、都道府県ごとにランダムな順序で申請時期が指定されます。
    • 「来月、自社が対象になるかもしれない」という状態で準備を進める必要があり、繁忙期と重なった場合の事務負担は甚大です。
  • 拒否者への対応:
    • 万が一、現職者が「戸籍の提出(確認手続き)」を拒否した場合、解雇や配置転換を検討しなければなりませんが、その説得や代替業務の確保は極めて困難な調整となります。

3. 「結果」の取り扱いと情報管理のジレンマ

確認結果(犯罪事実確認書)は、極めて機微な個人情報であり、その管理には高度な制約が課されます。

  • 「記録しない」原則との戦い:
    • ガイドラインでは、犯歴情報は「システム画面での閲覧のみ」とし、自社PCや紙での保存を極力避けるよう求めています。
    • しかし、人事担当者は「誰が確認済みで、誰が未確認か」を管理する必要があり、「犯歴そのものは保存せず、確認した事実だけを記録する」という厳密な情報の切り分けが求められます。
  • 廃棄の徹底:
    • 退職などで対象業務から外れた場合、30日以内に情報を廃棄・消去しなければなりません。アルバイトやボランティアの出入りが激しい現場では、この削除フローを回し続けること自体が大きな負担となります。

4. 「犯歴あり」判明時の雇用判断

実際に「特定性犯罪事実あり」との結果が出た場合、事業者は厳しい判断を迫られます。

  • 配置転換の限界:
    • 法律は「こどもに接しない業務への配置転換」等を求めていますが、小規模な塾や保育所では、そのような代替ポストが存在しないケースが多々あります。
  • 解雇の法的リスク:
    • 代替ポストがない場合の解雇(分限免職・普通解雇)は、事前に就業規則等で「適格性の欠如」や「経歴詐称」の要件を整えておかないと、不当解雇として訴訟リスクを抱えることになります。

5. 「疑い」段階での事実認定

DBSのシステムで「シロ(犯歴なし)」と出ても、現場で性暴力や不適切な行為の「疑い」が生じた場合、事業者は自ら調査を行わなければなりません。

  • 警察との連携:
    • どの段階で警察に通報すべきか、警察が動く前に社内でどこまで聴取してよいか(証拠隠滅や記憶の汚染を防ぐため)、高度な判断が求められます。
  • 事実認定の責任:
    • 捜査機関ではない事業者が、関係者へのヒアリングのみで「クロ(処分対象)」と認定することは非常に難易度が高く、誤った認定は加害者(とされる人)への人権侵害、認定の遅れは被害児童への安全配慮義務違反となる「板挟み」の状態になります。

まとめ

犯罪事実確認は、「システムで〇×が出る」だけの単純なものではありません。 その前後にある「対象者の選定」「スケジュールの管理」「情報の廃棄」「事後の配置転換・処分」という、極めて重い人事労務判断の連続こそが、本制度の実務的な本質といえます。
事業者の皆様、一緒に乗り越えましょう!準備は早めが肝心です。

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