日本版DBS実務における「事業者の苦労ポイント」徹底解説!

2026年12月の施行を控え、日本版DBS(Disclosure and Barring Service)制度の準備・運用において、事業者が直面するであろう「5つの課題」を整理しました。本記事では、これらの課題を具体的に解説し、実務に役立つ情報を提供します。

目次

1. 現職者約280万人の「一斉確認」とスケジュール管理

最大の事務負担:現職者の犯罪事実確認

施行時点で既に雇用している現職者全員に対し、犯罪事実の確認を行う必要があります。この作業は、事業者にとって大規模かつ突発的な事務負担をもたらします。

  • ランダムな申請スケジュール
    全国の従事者は27ヶ月間に分割され、都道府県ごとにランダムなタイミングで申請時期が割り振られます。自社が「いつ対象になるか」を事前に予測することが難しく、短期間で大量の確認作業をこなす必要があります。
  • 確認拒否への対応
    現職者が犯罪事実確認を拒否した場合、対象業務から外すなどの配置転換が求められます。この際、本人への説得や業務調整が必要となり、現場の混乱を招く可能性があります。

2. 厳格な「犯罪事実確認書」の情報管理

犯歴情報の取り扱いは「究極の個人情報」

犯罪事実確認書の情報管理は、一般的な個人情報以上に厳しい基準が求められます。適切な管理体制を構築しなければ、法令違反や情報漏洩リスクが高まります。

  • システム外保存の禁止(推奨)
    ガイドラインでは、犯歴情報を自社PCや紙で保存せず、システム上での閲覧に限定することが推奨されています。しかし、確認作業の記録や人事評価のために「誰がいつ確認済みか」を別途管理する必要があり、この「情報の切り分け」が非常に煩雑です。
  • アクセス権限の厳密な管理
    理事長や管理職などの「全権限者」、現場責任者の「閲覧者」、事務担当の「申請者」など、組織内でのアクセス権限を細分化し、定期的なログ確認や自己点検を行う体制が求められます。

3. 性暴力の「疑い」や「不適切な行為」への初動対応

「疑い」への対応も義務化

法的な前科がない場合でも、現場で性暴力の「疑い」が生じた際には、迅速かつ適切な対応が求められます。

  • 「おそれ」の判断基準
    性暴力をふるう「おそれ」があるかどうかを判断するため、事前に「児童対象性暴力等対処規程」を整備し、調査フロー(聴き取りや証拠収集など)を明確化する必要があります。
  • 中立性の確保
    被害児童や保護者への配慮と、加害が疑われるスタッフの人権保護のバランスを取ることが重要です。客観的な証拠がない場合の「事実認定」や、配置転換・出勤停止の判断は、経営判断として非常に重い責任を伴います。

4. 採用・雇用契約の「法的ガード」の再構築

雇用契約や就業規則の見直しが必須

制度を適切に運用するためには、採用時や雇用契約における法的な整備が欠かせません。

  • 経歴詐称への対応
    採用時に「特定性犯罪事実がないこと」を誓約させ、虚偽が判明した場合には「重要な経歴の詐称」として内定取消や懲戒解雇が可能となるよう、法的な裏付けを整備する必要があります。
  • 実習生・ボランティアの管理
    職員だけでなく、教育実習生やインターンも確認対象となる可能性があるため、大学や外部機関との契約関係や受け入れフローを再構築する必要があります。

5. 保護者・従事者との「共通認識」の醸成

制度導入に伴う不信感やトラブルを防ぐ

制度の導入が現場の不信感やトラブルにつながらないよう、保護者や従事者とのコミュニケーションが重要です。

  • 不適切な行為の定義
    「どこまでがスキンシップで、どこからが不適切な行為か」を明確化し、児童・保護者・従事者間で共通認識を持つことが求められます。
  • 説明コストの発生
    スタッフに対して「なぜ犯罪事実確認が必要なのか」を説明したり、保護者に対して「どのような安全対策を講じているのか」を説明する場を設ける必要があります。これらの説明には継続的なコストが発生します。

【実務への示唆】

これらの課題に対応するためには、施行直前ではなく、2026年の早い段階から準備を進めることが重要です。特に以下の3点は、優先的に着手すべき事項です。

  1. 情報管理規程の策定
    犯罪事実確認書の取り扱いに関する規程を整備し、情報漏洩リスクを最小限に抑える体制を構築する。
  2. 就業規則・雇用契約書の改訂
    制度に対応した法的ガードを整備し、採用時や雇用中のトラブルを未然に防ぐ。
  3. 現職者への事前説明
    制度の趣旨や必要性を現職者に丁寧に説明し、協力を得るための準備を進める。

これらの取り組みを早期に開始することで、制度施行後の混乱を最小限に抑え、スムーズな運用を実現することが可能です。
事業者の皆様は早めに対応が不可欠です。
分からない点がございましたらいつでもご相談ください!

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